ハンガリー・ソムバトヘイ市

サヴァリア交響楽団 SAVARIA Symphonie Orchester

正式名称: A Szombathely Szimfonikus Zenekar

楽団創立: 1962年 (プロ化:1974年)

総監督: ホルバート・ラースロー(1998年2月就任) (元ハンガリー国立交響楽団・首席クラリネット奏者)

芸術監督: 井﨑正浩(1998年9月就任)/首席常任指揮者を兼務

名誉指揮者: ライター・ルドヴィト、ペトロー・ヤーノシュ

コンサートマスター: シャンドール・ヤーノシュ、ヂェンゲ・ティボル

事務局: H-9700 Szombathely, Thokoly utca 14, HUNGARY   tel : +36 / 94 / 314472  tel&fax : +36 / 94 / 316808


〈沿革〉

ハンガリー西部交通網の交差点であり、また国内有数の産業都市であるソムバトヘイ市は、紀元前43年ローマ皇帝皇帝クローディオによって築かれ、当時からこの地方が「サヴァリア」と呼ばれイタリアとバルト海を結ぶ重要な中継地だったため、この地で生まれたオーケストラも国内ではソムバトヘイ市交響楽団、国外ではサヴァリア交響楽団としてその名を冠している。1962年2月に最初の演奏会を行った後、1974年からプロフェッショナル・オーケストラとして活動を開始し、創立から1991年までの約30年の間ペトロー・ヤーノシュを音楽監督及び常任指揮者としてその活動を行った。

1992年9月からは芸術監督兼常任指揮者にロバート・フーリハン(イギリス)を招き、レパートリーの拡充とアンサンブルの飛躍的向上を図っている。

1998年2月にはこの地方の出身で、ハンガリー最高のクラリネット奏者であり当時のハンガリー国立交響楽団(現ハンガリー国立フィル)の首席クラリネット奏者であったホルバート・ラースローがこの楽団の総監督に就任し運営面において大きな改革を行い、同年9月からのシーズンから井﨑正浩、コチャール・バラージュの二人が芸術監督兼常任指揮者として招かれた。99年5月には楽団員投票により全会一致で井﨑一人を芸術監督兼常任指揮者として信任し、1999/2000年のシーズンからは、コチャールが客演指揮者に退き、井﨑正浩をこのオーケストラの顔としてこのオーケストラがどのように活動していくかが大いに期待されている。


<バルトークホール舞台上のオーケストラ>

<バルトークホール全景>
<バルトークホール入り口のネームプレート>

 

〈活動及び特徴〉

通常時66名(最大時80名)のメンバーによって構成されるこのオーケストラは、このソムバトヘイ市の属するヴァシュ地方自治州(日本で言う「県」)及びソムバトヘイ市の公的助成を受けて活動し、市の中心街に位置するバルトーク・ホールを主な演奏会場・リハーサル会場としている。(豊かな響きを有するホールでのリハーサル及び演奏会の同所開催は、ハンガリーでも稀な存在である)

この数十年の間に、このオーケストラはハンガリーにおける音楽界の重要な位置を占めるまでに発展しており、そのレパートリーは古典、ロマン、近・現代の主要作品はもとより、コンサート以外にも度々オペラ公演のオーケストラとしても活動している。また、国内・国際音楽祭での招待演奏も頻繁で、サヴァリア春の音楽祭、パンノン秋の音楽祭、ショプロン夏期音楽週間(パンヨーロッパ・ピクニックコンサート)、国際バルトークセミナー&フェスティヴァル、ハンガリー国営テレビ主催国際指揮者コンクール等では毎回演奏を行っている。

また1990年には現代音楽のレパートリーにおける顕著な活動を認められてバルトーク・ベーラ/パーストリー・ディッタ賞を受賞しており、こうした活動はハンガリー国内における公演やテレビ・ラジオ放送を通じての演奏に加えて、数々のレコーディングによってそのレヴェルの高さが知られている。

これまでの海外での活動ではフランス、ドイツ、オランダ、ルクセンブルク、スイス、アイルランドなどの国々で数々の成功を収めており、特に隣国オーストリアでの活動は顕著である。またこれまでに共演した数々の指揮者、ソリストたち(クルト・ヴェス、ヘルベルト・モッグ、小林研一郎、ジョン・ケージ、ヴァーシャリ・トマーシュ、コルマン・ピアース、フェレンチク・ヤーノシュ、ギドン・クレーメル、ジョン・オグドン、ドミトリー・アレクセイエフ、パーヴェル・コーガン、ナタリア・グットマン、コチュシュ・ゾルターン、シャーシュ・シルビア、ヤンドー・イェヌー、サバディ・ヴィルモーシュなど多数)からも信頼され、高い評価を受けている。

1992年にはProf.ライター・ルドヴィト(著名なハンガリー人作曲家・指揮者)が楽団員から、“名誉指揮者”(HonoraryChairman-Conductor of the ensemble)の称号を受けている。また、今年1999年は楽団創立25周年にあたり、創立指揮者のペトロー・ヤーノシュによる記念コンサート及び式典が行われた。また2000年1月には常任指揮者・井﨑正浩による初のCDレコーディング(Zenei ajánlás ~音楽の捧げもの~)が行われ、3月にハンガリー国内でリリースされた。(CD紹介のページへ)

 

〈定期演奏会及び他のコンサート〉

サヴァリア交響楽団では1シーズン(9月~翌年6月)の定期演奏会を、国立コンサート・エージェント“フィルハーモニア”との提携による「フィルハーモニア定期」(10回)と、楽団の名誉指揮者の名を冠した自主公演「ライター定期」(10回)の2つのカテゴリーで構成している。そのうちフィルハーモニア定期の場合、このコンサートエージェントの組織による他のオーケストラの招致が含まれ1999/2000のシーズンではハンガリー放送交響楽団、MATÁV交響楽団(ハンガリー)、ハンガリー国立フィル(旧ハンガリー国立響)、デブレツェン・フィル(ハンガリー)、ロホトカ・ガーボル/オルガンコンサート等のライン・アップがあり、このサヴァリア響自体の定期演奏会は4回となっている。またライター定期の場合、シーズン開幕の日(10月1日)の「音楽の花束の日」コンサートを皮切り、12月末のジルヴェスター・コンサート、3月末のソムバトヘイ市スプリングフェスティヴァル・コンサートなどのタイトルを含むコンサートが主体となっている。   

またそのほかの重要な演奏会としては、ブダペストにおける特別演奏会や同じくブダペストで3月~4月に開催されるスプリング・フェスティヴァル(国際音楽祭)への参加、またハンガリー国内の他の地方都市への客演/特別演奏会がほぼ毎月予定されている他、学童・学生やペンジョニスト(高齢者)を対象とした年5回のコンサート(定期演奏会のメイン・プロのみを曲目解説を交えながら行うコンサート)、またこの楽団のメンバーで組織している室内楽コンサート年7回などが柱となっている。また毎年11月~12月には、国内外の有望な新進演奏家を独奏者に迎えて協奏曲ばかりをプログラムとし、同じく国内外の批評家や音楽事務所関係者などを招待して演奏を行う「サヴァリア・インターフォラム」も開催している('99.11月のインターフォーラムでは日本のピアニスト・浜川潮が紹介された)。

 

〈バルトーク・ホール/定期演奏会場〉

ソムバトヘイ市のほぼ中心部に位置するバルトーク・ホールのある建物は、象徴的な2つの塔を持った、元はユダヤ教の教会であった建物である。大戦後、内部が演奏会場に改装され現在はサヴァリア響の本拠地となっており、隣接するバルトーク・べーラ音楽学校と同様、そのホールの名にハンガリーの生んだこの偉大な作曲家の名前が掲げてある。元教会であったため適度の残響を持ち、正面にオルガンが据えられてその両サイドにそれぞれバルトークの写真とハンガリー国旗のレリーフが額に入れられ掲げてある。客席は1階席・2階席合わせて定席数395に、通路に100近くの稼動椅子を配することができるが、それでも全体で500席にも満たない小さなホールである。しかしながら客席と舞台が非常に身近に感じられて、このホールの響きをよく知った楽団員の演奏する音楽は観客と一体感を味わわせるかのようだ。

このホール舞台下手から隣接した建物には、指揮者室、コンサートマスター&ソリスト控室、楽団員室、音出し部屋がそれぞれ連なっており、建物の最後尾がバルトーク音楽学校へとそのままつながっている。楽団員の多くはこの学校の講師でもあり、アクセスに便利な構造となっている。またホールと音楽学校をつなぐようにSymfonia-cafe(休憩中の楽団員がよくたむろしている)やミュージックショップ(楽譜やCDを販売している)が表通りに連なっていて、このホール中心の様々な音楽環境となっている。

またサヴァリア交響楽団がこのバルトーク・ホール以外に使う演奏施設として、同市内のスポーツハレ(Kultur- und Sporthaus)がある。大規模な編成の曲や合唱を伴う曲、また多数の聴衆の来場時に使われるもので、これまでにヴェルディ「レクイエム」やマーラーの交響曲、ジルべスターコンサートなどの演奏が行われている。音響についてはバルトーク・ホールのそれとは比較にならないが、広い舞台を生かして、舞踏(バレエ)の同時演奏(公演)等が行われる利点もある。(今年のジルヴェスター・コンサート=井﨑指揮もここの予定である) また夏の音楽祭やオープンエアーコンサートのための施設“イゼウム(Iseum)”がバルトーク・ホールの道路を挟んで斜め向かいにある。ここは出土した旧ローマ帝国時代の柱(実物)と石舞台を再現し、両脇は博物館と商業ビルに囲まれた絶好のオープンスペースになっている。これまでモーツァルト「魔笛」はじめ数々のオペラが上演されており、’99夏にも同オペラが開催された。しかしやはり天候に左右されるのが屋外劇場の宿命であり、日蝕の日記念コンサート「ジャパン・デーコンサート」、ベートーヴェン「第九」コンサートなど予定されていたいくつかのコンサートは雨天のため会場をバルトークホールに移して開催された。


<イゼウム/舞台正面(写真左) と 舞台からバルトークホールを望む(写真右)>


この写真では少々わかりづらいかもしれないが、右側太い4本の柱の立っている場所と左側の建物(4本の柱のあるもの)との間には約30メートルほどのスペースがあり、通常この空間を使ってやぐら状の客席を右側に、オーケストラ用舞台を左側に設置される。



(バルトーク・ホール座席/マイ・シート・チャリティー)

このサヴァリア交響楽団では、団の財政援助や聴衆の方々へのパブリックレーションの一環として、バルトーク・ホール内の座席について、マイシート登録を募集している。これは申込者の希望する任意の座席について援助金を支払っていただき、そのシートに申込者のネームプレートを設置させていただくもので、お支払い頂いたお金は団の財政援助金として寄付されることになる。この座席登録はあくまでも団援助のシンボリックな活動であって、登録していただいた座席は本人以外座れないという性格のものではない。(その席が登録者不在の際に空席になることを防ぐため) だがもちろん演奏会に御来場頂いた場合は優先的にその席が確保されるよう取り計らわれることになっている。

*登録方法(概要)  

金額 : ¥30,000 (日本円で申し込み可/為替レートの変動により変わる事があります)

特典 : 登録者には以下の物がプレゼントされる。
1.設置されるネームプレートと同じ物(御名前を刻んだゴールドプレート)、及びネームプレート付き座席の写真
2.サヴァリア交響楽団年間プログラム冊子、及び定期演奏会招待状、その他演奏会優待券

*お申し込み、及び問い合わせは(英語で)

MASART(担当;FÉNYES Veronika さん)

    Tel&FAX +36/1 204-9365 H-1119 Budapest, Etele utca 16, HUNGARY

もしくは、井﨑正浩ホームページ・コンタクトへE-mailを!



〈最近のプログラムから〉・・・特記ないものは全てバルトーク・ホール(ソムバトヘイ)にての演奏

2000/2001のシーズンにおける井﨑正浩の指揮したサヴァリア響の演奏会は次の通り

10月1日(ブダペスト・オータムフェスティヴァル参加演奏会・音楽の日コンサート)
コダーイ/歌劇「ハーリ・ヤーノシュ」組曲
バルトーク/歌劇「青ひげ公の城」(全曲・演奏会形式/Sop.独唱アリーナ・グリナ、Bas.独唱ペーテル・ミクラーシュ)
(ブダペストMTA=工科大学ホールにての演奏)

 

10月2日(シーズン幕開けコンサート、Filharmonia定期)

 

10月1日のプログラムと同じ


11月30日(Rajter定期)
モーツァルトの夕べ
歌劇「皇帝ティトの慈悲」序曲
Vln.とVla.のための協奏交響曲変ホ長調KV.320d(364)
(Vln.独奏シュトゥラー・ゲーザ、Vla.独奏マーテ・ギョェーゾェー)
交響曲第41番ハ長調KV.551「ジュピター」

 

12月7日(Rajter定期)
チャイコフスキーの夕べ
イタリア奇想曲
ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23
(ピアノ独奏セケンディ・タマーシュ)
交響曲第4番へ短調作品36

 

12月29日(Rajter定期)、30日(特別演奏会)
シルヴェスターガラコンサート(チャイコフスキー・バレエ音楽の夕べ)
「眠れる森の美女」より”ワルツ”
「くるみ割り人形」組曲
「白鳥の湖」抜粋

 

3月8日(Rajter定期)
ボロディンの夕べ
交響曲第2番
交響曲第3番
歌劇「イーゴリ公」より、”序曲”、”だったん人の娘の踊り”、”だったん人の踊り”

 

3月12日(Filharmonia定期)
ベートーヴェン/ミサ・ソレムニス作品123
(合唱;ハンガリー国立合唱団、独唱;ハンガリー国立歌劇場のソリスト)

 

3月22日(Rajter定期、ソムバトヘイ・スプリングフェスティヴァル・オープニングコンサート)
バルトークの夕べ
ヴァイオリン協奏曲第2番
(Vln.独奏アーブラハーム・マールタ)
オーケストラのための協奏曲

 

3月23日(ブダペスト・スプリングフェスティヴァル参加公演)
ベートーヴェン/ミサ・ソレムニス作品123
(合唱;ハンガリー国立合唱団、独唱;ハンガリー国立歌劇場のソリスト)
(ブダペスト・マーチャーシュ教会での演奏)

 

5月10日(Rajter定期)
日本人のソリストを迎えて
芥川也寸志/弦楽のためのトリプティーク
井財野友人/ヴァイオリン協奏曲第1番”あかいんこ(赤犬子)”
(Vln.独奏;原田大志)
ブラームス/ピアノ協奏曲第1番ニ短調作品15
(ピアノ独奏/浜川潮)

 

 

1999/2000のシーズンにおける井﨑正浩の指揮したサヴァリア響の演奏会は次の通り 

10月1日(シーズン幕開け・音楽の日コンサート)
バルトーク/弦楽のためのディヴェルティメント
リスト/ピアノ協奏曲第2番イ長調(ピアノ独奏;ケルメンディ・クララ)
ブラームス/交響曲第3番ヘ長調作品90

11月10日(サヴァリア・インターフォーラム第1日目)
ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲ト短調(ヴァイオリン独奏;サライ・アンタール)
シューマン/ピアノ協奏曲イ短調(ピアノ独奏;浜川潮)
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲二長調(ヴァイオリン独奏;アーブラハーム・マールタ)   

  

11月11日(サヴァリア・インターフォーラム第2日目)
モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調(ヴァイオリン独奏;シュトゥッラー・ゲーザ)
リスト/ピアノ協奏曲第1番変ホ長調(ピアノ独奏;ケーリー・ヤーノシュ)
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番変ホ長調(ピアノ独奏;フラヴァチェク・ティハメール)

  

11月18日(Rajter定期演奏会)
R.シュトラウス/13管楽器のためのセレナード
ドヴォルジャーク/管樂セレナード
ハイドン/交響曲第104番ニ長調「ロンドン」

 

11月25日(Alpok-Adria ガラコンサート) 
ドヴォルジャーク/交響曲第8番ト長調
モーツァルト/交響曲第38番ニ長調「プラハ」
ヤナーチェック/歌劇「利口な女狐」組曲(ターリッヒ版)

 

12月29日&30日(シルヴェスターコンサート)
オーケストラのみによる演奏 
スッペ/「軽騎兵」序曲
カールマ/パロターシュ、喜歌劇「伯爵夫人マリツァ」序曲
レハール/喜歌劇「微笑みの国」よりアリア(テノール独唱;李炫)、ワルツ「金と銀」
オッフェンバック/喜歌劇「天国と地獄」序曲

サヴァリア・バレエ団と共演による舞踏曲集
バーンスタイン/ミュージカル「ウエストサイド・ストーリー」より、“セレクション”、“マリア“(テノール独唱;李炫)
アンダーソン/小品集(全10曲)
舞踏会の美女、プリンク・プランク・プランク、シンコペーティッド・クロック、ブルータンゴ、タイプライター
トランペット吹きの休日、そり滑り、ワルツィング・キャット、サンドペーパー・バレエ、フィードゥル・ファードゥル

   

1月17日(Rajter定期演奏会)
スペイン音楽の夕べ
リムスキー=コルサコフ/スペイン奇想曲作品34
ラロ/スペイン交響曲作品21(ヴァイオリン独奏;セチェディ・フェレンツ)
ファリア/歌劇「はかなき人生」より“間奏曲”“スペイン舞曲”
ファリア/「三角帽子」より第2組曲

 

1月22日(ハンガリー・文化の日演奏会)
エルケル/祝典序曲
リスト/ピアノ協奏曲第1番
ヴェレシュ/4つのペンシルバニアン・ダンス
コダーイ/ガランタ舞曲

 

1月24日(ケーセグ市の学童追悼コンサート)
ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」より第2楽章
モーツァルト/交響曲第40番ト短調

 

3月14日(ハンガリー・オーケストラ・フェスティヴァル/オープニングコンサート)
バルトーク/2つの映像
コダーイ/「孔雀」の主題による変奏曲
伊福部/シンフォニア・タプカーラ

 

3月20日(ハンガリー・オーケストラ・フェスティヴァル/コンサートVol.3)
ベートーヴェン・序曲「レオノーレ」第1番
ライタ/交響曲第1番
シベリウス/交響曲第1番